黒にんにくが世に出始めたのは、2000年半ばでした。
にんにくは体に良いと知っていたことと新しい商品に興味があったことも手伝い、さっそく黒にんにくを試したのですが、あまりに強いにおいに驚きました。良いものであれば商品として売りたいと考えていたのですが、「こんなににおいが強いと、抵抗がある方が多いだろう。お客様に本当に喜んでもらうのは難しい」と感じたのです。

それから18年。
知人から「とてもおいしい黒にんにくがある」と紹介されて食べたのが、南信州で育てられた黒にんにくです。

この黒にんにくを手にした瞬間、驚きました。
昔食べてキツイと思ったにおいが非常に薄く、「にんにく臭い」と感じないのです。
まったくにおいがしないというと語弊がありますが、「ほとんどしない」「気にならない」というレベルでした。

食べてまた驚きました。
甘い。
それまで私が食べた黒にんにくのイメージを覆す甘さと、その奥にほんのり潜む酸味。まるでフルーツのようなおいしさだったのです。

これならお客様に喜んでもらえると感じた私は、さらにより扱いやすく食べやすい黒にんにくにするため、にんにくの房を分けて一つずつ個包装にすることを提案しました。
一度封を切った黒にんにくは冷蔵庫で保存するのが一般的なのですが、袋の口をしっかり閉じても、どうしてもにおいが広がってしまうのが難点でした。けれど一房ずつ個包装になっていれば、食べる分だけ開ければいいので保存時のにおいを気にせずに済みます。

にんにくはにおいが強いため、包装する機械にもにおいがついてしまうこともあり、「にんにくを房で分けて個包装にする」ということ自体、多くの工場が前向きでなく実現しにくいことを知っていました。
それでも断られるのを覚悟で、工場に「個包装にできませんか」と相談したところ「やりましょう」と快諾。

こうして、においが通常の黒にんにくの1/3以下で甘くおいしいうえに、一房ずつ個包装になった熟成黒にんにくが誕生したのです。

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